「白崎は幸くあり待て大船に真舵しじぬきまたかへりみむ」と万葉歌にある、中紀、由良湾の北に突き出た岬です。石灰岩でできているので、名のとおり紺青の海に白く浮かんでいます。この和歌の「幸くあり待て……かへりみむ」のフレーズは、実は他の万葉歌にも使われています。大きな船ではるばる遠方まで出かける(場合によると朝鮮半島、大陸までも)人々にとって、故郷の最後の岬です。ましてここは白い印象的な地です。故郷の土地、村、人々、家族等を思い、どうか帰るまで変わらず無事でいてほしいという思いを込めて、船人や旅人が詠んだのでしょう。
実はこの岬、万葉時代から見ると1/3位に縮んでいるのではと思われます。というのも、セメントの材料として石灰岩を取り続けたからです。正面のトンネルはかつての入口で(内側から撮ってます。)向こうの出口は道に面しています。現在はこの北側に、進入路があり、セメントをとった跡の平らなところには、今、道の駅やキャンプ場ができています。
「日本のエーゲ海」などというそうですが、紺碧の海と空と白い石灰岩の取り合わせは、そのとおりでしょう。エーゲ海、行ったことありませんが、ここはオシャレなリゾート地とはいえません。風吹きすさぶ荒々しい場所で、大自然と絶景をご覧になりたい方にお勧めです。異国であり、異世界を堪能できます。
オートキャンプ場があり、ちゃんと1000kWの電源もあります。寒い冬の日でしたが、車が1台止まり、横に大きなテントが張ってありました。この手前にはキャビンも数棟あり、夏はたくさんのお客様がみえるようです。先端にダイビングもできる海洋施設があったのですが、台風の後、閉まっているようです。はやく復旧できるといいですね。
[おまけ]
高速の広川ICを降りて直進すると、海岸沿いの道に出ます。この道を辿って白崎に向かう途中には水仙が咲き、群落になっているところもあります。冬場は、行きか帰りにぜひご覧下さい。