和歌山市の東部に坐す、五十猛(いたける)命、木の神様です。和歌山電鐵貴志川線の中程、伊太祁曽駅から南へ少し歩くと突き当たり、道沿いに鳥居があります。それをくぐり次の鳥居です。
神話の中で、素戔嗚命はかつて新羅に天降り、後に木の種を持って息子の五十猛命とともに日本にやってきます。その種を日本中に撒きつつ紀伊國にやってきて、温暖で豊かな地に木々が生い茂るのを見て、ここは木を育てるのに最適の土地だと、居を定めたといいます。
今、若木も巨木も青葉に包まれた中を奥へ進みます。
ご本殿中央に五十猛命、その左右に姉妹の大屋津姫命、都麻津姫命がお祀りされています。
これは大国主の逸話に関する木の洞です。ご本殿の前に置いています。因幡の白兎の後日譚。
大国主の兄弟、八十神は、彼が憎くてたまらない。大国主はその後、二度も八十神に殺されます。お母さんのおかげで生命を吹き返した命に彼女は言います。「紀伊國に親戚の一族がいるので、あなたはそこへ逃げなさい。」そしてやってきたのが、この五十猛命の坐す伊太祁曽なのです。八十神はしつこくここまでも追ってきて、大国主を出せと迫ります。そこで五十猛の神は木の又(それがこの洞だというのですが、穴の方がリアル感あるかな😄)から大国主を根の堅洲国へ逃がします。それは紀伊半島南部、熊野一帯だといわれています。
ちなみに、ここから東へ行くと、紀の川市。ネコ駅長で有名な貴志駅の周辺には、大国主神社といくつもの古墳があります…。
この季節、社を包む緑、盛り上がる若葉に五十猛の生命を感じます。この神社の周辺には約四十基の伊太祁曽古墳群があり、特に神社東側の丘には三基の古墳があります。一基の横穴式石室の入口が参道に向いています。結晶片岩の岩橋千塚型の石室だそうです。