紀州東照宮は、1621年に紀州徳川家初代頼宣公によって創建されました。侍達の築いた侍坂を百八段登ると、立派な楼門があります。御祭神は頼宣公とのその父上、徳川家康公です。
門からも見えていましたが、見事に晴れ上がった空でした。背後に山、前に海のこの地は、家康公が最初に葬られた久能山になぞらえた地であったということです。瑞垣の唐門を入ると拝殿、その背後に本殿があり、楼門も含めて国の重要文化財です。創建以来何度も塗り直し、今の姿を維持してきました。
本殿、拝殿の周りはたくさんの彫刻で飾られていますが、この2つは私のおすすめです。左は正面の鷹狩図。鷹狩がお好きだった家康公を偲んで置かれたのでしょうか。白い鷹が、雉を掴み、今まさに飛び立たんとしている瞬間で、力みなぎる素晴らしい彫刻です。右は拝殿の向かって左背後にある海馬です。海馬は正面にもありますが、これが最高でしょう。この荒立つ波の勢い、それをも乗り越えてしなやかに駆ける海馬。波の重なりも含めて心躍る作品です。これら以外にも見事な鳥、動物、花々が彫られ、鮮やかに塗られています。
なお、この神社のご祭事、和歌祭りは、コロナ流行で2年間行われませんでした。2022年5月は、1622年の神社造営1年後、家康公忌日に初めて祭りが行われてちょうど四百年の大祭でした。朝から百八段の侍坂を神輿下ろしをして、和歌山城まで若者達がリレーで担いでいきました。その後、フォルテワジマ前に移動、ここを出発点に松平健さんの吉宗公、大名行列、そして渡御行列が西の丸前まで続きました。基本、毎年5月、東照宮周辺で行われます。皆様、お越し下さい。
和歌道をお城へ向かう神輿と、追廻門内についてほっと一息つく青年達です。